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開業の報告をしたとき
おいちゃんは
そうか
いいなぁ!
開業はいい
って
たぶん
ずっと大学勤めで
自作の自分の拠点を持たない人ならではの感覚なのだろう
前に
ここじゃ開業しないから
って言い放ったとき
パパはどう思ったんだろう
あなたは何も言わなかった
ゆかに怒りを感じましたか?
悲しみを与えてしまいましたか?
失望させてしまいましたか?
あなたは何も言わなかった
いまさらだけれど、
パパの跡を継ぎます
パパの遺してくれたものを使って
ママのそばで
やるよ
生きているうちに
この決意を聞かせてあげられなくてごめんなさい
お父さん
私、頑張るから
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伯父を送ってきた
綺麗な顔だった
今はもう、煙になって空にいるね
今日、晴れてよかったね、おいちゃん
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ひとたび
自分が正義だと思ったら
他人を排除し始めたら
どこでストップをかければ良いのだろうか
どこで気がつくことができるのだろうか
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医者歯医者は親族に一人いると便利
だとか
医者と歯医者の夫婦なんてかっこいいじゃん
とかなんとか
まぁ結局男はそーいう目でしか見てないわけよ
養ってくれますぅ?
とか
お前がそれに値するどんだけのモンなんだよ
っつハナシ
受け入れてくれるなら離婚する
とかさ
バスケットかよ
軸足はずらさずにピボットで相手を転々としてんじゃねーよ
そーいうオトコどもからの心無い言葉や
収入やら職位やら知識やらへの嫉妬からくる心無い扱いに
くたびれてんのよ
いい加減にしてよ
伯父の逝去
平成30年4月3日
伯父が星になった日
千葉大に見舞って
足を揉んで
すっぽんスープを飲んでもらった
母と私の手を握ったまま
こくりこくりと眠る痩せこけた顔を見て
そうか
おいちゃん
おいちゃんも逝っちゃうのかぁ
と思った翌々日のこと
レセコンの営業さんと話した後
終電がなくなり
ぽてぽてと歩いて帰る道すがら
涙が出た
逝っちゃったのかぁ
そっかぁ
伯母ちゃんを探してるかな
とーさんと会ってるのかな、話すこと、あるかな
いや、まだ7日間はこの世にいるのか
娘たちや孫たちの側に居るんだろうな
こっちには後ででいいよ
でもママのそばには来てあげて欲しいな
そんなことを思いながら
ぽろぽろと
ぽてぽてと
歩いた
散りかけの桜に見送られながら