ひとんちのお父さんのことなんだけどね

 

なんだろうね

息を吸っても吸っても

カラダに酸素が足りないようなこの感じ

虚無感、かな

 

違うかな

泣いたからかな

 

パパが近くにいるのかな

パパの肺気腫は、こんな感じだったのかな

胸いっぱいに吸い込んでも

なんだか足りていない感じ

こんなもんじゃなかっただろうけれど…

 

怒りも喜びも悲しみも

あまりはっきり表現することがなかったパパ

表現することを諦めてしまったのかな

 

おとーさん

開業の報告をしたとき

 

おいちゃんは

そうか

いいなぁ!

開業はいい

って

たぶん

ずっと大学勤めで

自作の自分の拠点を持たない人ならではの感覚なのだろう

 

前に

ここじゃ開業しないから

って言い放ったとき

パパはどう思ったんだろう

あなたは何も言わなかった

ゆかに怒りを感じましたか?

悲しみを与えてしまいましたか?

失望させてしまいましたか?

あなたは何も言わなかった

 

いまさらだけれど、

パパの跡を継ぎます

パパの遺してくれたものを使って

ママのそばで

やるよ

 

生きているうちに

この決意を聞かせてあげられなくてごめんなさい

お父さん

私、頑張るから

医者歯医者は親族に一人いると便利  

 

だとか

 

医者と歯医者の夫婦なんてかっこいいじゃん

 

とかなんとか

まぁ結局男はそーいう目でしか見てないわけよ

 

養ってくれますぅ?

 

とか

お前がそれに値するどんだけのモンなんだよ

っつハナシ

 

受け入れてくれるなら離婚する

 

とかさ

バスケットかよ

軸足はずらさずにピボットで相手を転々としてんじゃねーよ

 

そーいうオトコどもからの心無い言葉や

収入やら職位やら知識やらへの嫉妬からくる心無い扱いに

 

くたびれてんのよ

 

いい加減にしてよ

30年5月26日 北原国際病院で母の手術

その辺りで伯父も膵臓癌の手術を受けていた

開腹したけれど取りきれないとのことで閉じた、と後から聞いた

 

てこさん、大丈夫か

 

電話口での大きな声

 

升本のお弁当を喜んでくれた

何回行ったかな

従姉妹とのやりとりで拾えるイベントは

29年年7月20日  升本弁当

8月18日は軽井沢

9月はうなぎを持って

30年2月2日 伯父千葉大入院

2月7日退院

2月18日  父一周忌

3月3日 ジェイコー入院

3月15日  伯父千葉大へ転院

3月23日  伯父見舞い

3月25日  伯父見舞い

4月1日  伯父見舞い

4月3日  逝去

 

寂しいなぁ

 

 

 

 

 

 

 

伯父の逝去

平成30年4月3日

伯父が星になった日

 

千葉大に見舞って

足を揉んで

すっぽんスープを飲んでもらった

母と私の手を握ったまま

こくりこくりと眠る痩せこけた顔を見て

 

そうか

おいちゃん

おいちゃんも逝っちゃうのかぁ

と思った翌々日のこと

 

レセコンの営業さんと話した後

終電がなくなり

ぽてぽてと歩いて帰る道すがら

涙が出た

 

逝っちゃったのかぁ

そっかぁ

伯母ちゃんを探してるかな

とーさんと会ってるのかな、話すこと、あるかな

いや、まだ7日間はこの世にいるのか

娘たちや孫たちの側に居るんだろうな

 

こっちには後ででいいよ

でもママのそばには来てあげて欲しいな

 

そんなことを思いながら

ぽろぽろと

ぽてぽてと

歩いた

 

散りかけの桜に見送られながら